ジョブホッパーでは、スキルは上がらない

ジョブホッパーとは、短期間に転職を繰り返す人たちのことだ。雇用流動性の高い外資系企業やベンチャー系企業では、よく見かける人材だ。ジョブホッパーに共通しているのは、みんなそれなりにコミュニケーション力があって、それなりに有能だ。
転職を繰り返すことはキャリア形成の一つである。しかしジョブホッパーの人たちは、ジョブホッパーになりたくて転職を繰り返しているわけではない。結果としてジョブホッパーになっているという背景がある。

ジョブホッパーは華麗なる転職族

採用活動に関わっていると、人材紹介会社からいくつものレジュメ(職務経歴書)が届く。それらに目を通すと、ジョブホッパーかどうかは直ぐに判別できる。ジョブホッパーと見て取れる人たちのレジュメは、キラキラしているのだ。
彼ら彼女らは、転職し慣れているのでレジュメを書くのがとても上手い。自身が経験してきたことを簡潔に分かりやすく書ける。こちらも、よし面接してみようと思い会ってみると会話が弾む。色んな会社や業界を見てきているから、話題に事欠かないのだ。
おおかたの人たちは、仕事の要領がよく器用、コミュニケーション力がある。だから、色んな仕事をこなせる。即戦力が欲しい中途採用の担当者にとっては、魅力ある人材に見える。

石の上にも三年

どんなに優秀な人でも、新しい環境に慣れ、自身の能力をふんだんに発揮できるようになるには一定の時間がかかる。ましてや、キャリアアップのために格上の会社に転職しようとするなら、なおさらの事だ。一例をいうと、メジャーリーグに挑戦したイチローと大谷選手。超一流の彼らでさえ、米国で賞賛されるほどの活躍をするようになったのは移籍四年目からである。
筆者の所属したコンサルティングファームでは、実力が伴わない人たちは、大体三年以内で去っていく。戦略系で有名なコンサルティングファームは、三年以内に昇格しないと退職勧告されるという厳しい掟もある。
石の上に三年とはよく言ったものである。高度なスキルであればあるほど、体得するには時間がかかるものだ。新しい環境に慣れ、新しい組織やチームに慣れ、新しいスキルを獲得し発揮していくことを目的にするならば、最低三年は地に足をつけて頑張ってみる覚悟が必要になるだろう。

ジョブホッパーはスキルを使い回している

上記の考え方を踏まえると、三年も経たないうちに職を変えてしまうようでは、スキルの向上は見込めない。つまりジョブホッパーは、自身の持つスキルを使い回しているということになる。彼ら彼女らのスキルが、求められる業務や職務にマッチすると非常にうまくいく。プロジェクト型の仕事や、職務限定の仕事を任せるにはもってこいだ。一方、今のスキルを超えるような高いレベルやチャレンジを求めると途端に動きが悪くなる傾向がある。最後までやり遂げるとか、長期の目標達成に向けてとかいった取り組みも苦手だ。
転職が多くなると、経験数は必然的に増す。ジョブホッパーは、持っているスキルと経験の数で勝負していると言えるだろう。

キャリアビジョンがあれば三年以上働ける

昨今、大手企業はジョブ型雇用に移行してきている。日本の雇用慣行である終身雇用や年功序列は、今後なし崩し的に消滅していくだろう。それに伴い、人材の流動化は徐々に拡大していくはずだ。転職市場は活性化し、一定のスキルを持つ人たちは転職先をいくらでも選べる時代になる。つまり自らの市場価値を高めることのできる機会がこれから格段に増えることになる。
自分は将来どうなりたいのか。そのためにどんなスキルや経験が必要なのか。しっかりとしたビジョンを持てば、転職先を選ぶ基準になる。そして仕事をする上での目的意識につながる。キャリアビジョンがあれば、会社組織によくある理不尽なことや不合理なことにも我慢ができるようになるだろう。
ジョブホッパーも一つの働き方ではある。しかし人生の多くの時間を費やす働く時間を、スキルアップに活かさない手はない。スキルアップのために、じっくりと腰を落ち着けて働いてみよう。そのためにも自身のキャリアビジョンを持つことをお勧めしたい。

FIN. February 26th, 2023